辨道話 岩波文庫 7

かくのごとく単伝して、おのづから六祖大鑑(だいかん)禅師にいたる。このとき、真実の仏法まさに東漢に流演して、節目にかゝはらぬむねあらはれき。ときに六祖に二位の神足(じんそく)ありき。南獄の懐譲(ゑじやう)と青原(せいげん)の行思(ぎやうし)となり。ともに仏印(ぶつもん)を伝持して、おなじく人天(にんでん)の導師(だうし)なり。その二派の流通(るづう)するに、よく五門ひらけたり。いはゆる法眼宗(ほふげんしゆう)・潙仰宗(ゐぎやうしゆう)・曹洞宗(そうとうしゆう)・雲門宗(うんもんしゆう)・臨済宗(りんざいしゆう)なり。見在(けんざい)、大宋には臨済宗のみ天下にあまねし。五家(け)ことなれども、たゞ一心仏印なり。

正法眼蔵(1) 道元 著 水野弥穂子 校注  岩波文庫

テキストの漢字ルビはカッコ書きで表記した。
 以下は管理者の解釈である。「このように伝えられて六祖大鑑禅師まで伝わった。このときに本当の仏法が東漢に伝わり広められて、細かい規則にかからわないことが解ってきた。六祖には二人のすぐれた弟子がいる。南獄の懐譲と青原の行思とである。ともに正しい仏道を伝え持って、おなじように優れた師匠である。この二人の教えから五つの流派が生まれた。法眼宗・潙仰宗・曹洞宗・雲門宗・臨済宗である。みるところ、大宋には臨済宗が世間に広まっている。五つの流派があるといっても、ただ一つの仏道を乗じることは同じである。」

50 第4章 花にちなんで

50 4. Pupphavaggo Dhammapadapāḷi

Na paresaṃ vilomāni, na paresaṃ katākataṃ;

Attanova avekkheyya, katāni akatāni ca.

The Pāḷi Tipiṭaka  https://www.tipitaka.org/

他人の過失を見るなかれ。他人のしたこととしなかったことを見るな。ただし、自分のしたこととしなかったこととだけを見よ。

ブッダの真理のことば 感興のことば   中村元 訳   岩波文庫   真理のことば  第4章 花にちなんで   50

大変厳しい教えである。いや、他の人には出来ているのかもしれないと思う。

120 第1 蛇の章 7、賤しい人

120 1.Uragavaggo 7. Vasalasuttaṃ

‘‘Yo have iṇamādāya, cujjamāno [bhuñjamāno (?)] palāyati;

Na hi te iṇamatthīti, taṃ jaññā vasalo iti.

The Pāḷi Tipiṭaka  https://www.tipitaka.org/

実際には負債(ふさい)があるのに、返済するように督促(とくそく)されると、『あなたからの負債はない』といって言い逃(のが)れる人、—かれを賤しい人であると知れ。

ブッダのことば 中村元 訳  岩波文庫 第1 蛇の章 6、賤しい人 120

テキストの漢字ルビはカッコ書きで表記した。教えはどれも具体的で、平然と負債がないといってのける人は、正しくはないが生命力の強さのようなものを感じる。負債がないのに負債を感じる多くの人々に強くあってほしいと願う。

119 第1 蛇の章 7、賤しい人

119 1.Uragavaggo 7. Vasalasuttaṃ

‘‘Gāme vā yadi vā raññe, yaṃ paresaṃ mamāyitaṃ;

Theyyā adinnamādeti [adinnaṃ ādiyati (sī. pī.)], taṃ jaññā vasalo iti.

The Pāḷi Tipiṭaka  https://www.tipitaka.org/

村にあっても、林にあっても、他人の所有物をば、与えられないのに盗(ぬす)み心をもって取る人、—かれを賤しい人であると知れ。

ブッダのことば 中村元 訳  岩波文庫 第1 蛇の章 6、賤しい人 119

テキストの漢字ルビはカッコ書きで表記した。与えられないのに取ろうとすることはよくない。