散文8 第1 蛇の章 4、Kasibhāradvājasuttaṃ catutthaṃ niṭṭhitaṃ.

8 1.Uragavaggo 4. Kasibhāradvājasuttaṃ

Alattha kho kasibhāradvājo brāhmaṇo bhagavato santike pabbajjaṃ, alattha upasampadaṃ. Acirūpasampanno kho panāyasmā bhāradvājo eko vūpakaṭṭho appamatto ātāpī pahitatto viharanto nacirasseva – yassatthāya kulaputtā sammadeva agārasmā anagāriyaṃ pabbajanti, tadanuttaraṃ – brahmacariyapariyosānaṃ diṭṭheva dhamme sayaṃ abhiññā sacchikatvā upasampajja vihāsi. ‘‘Khīṇā jāti, vusitaṃ brahmacariyaṃ, kataṃ karaṇīyaṃ, nāparaṃ itthattāyā’’ti abbhaññāsi. Aññataro ca [aññataro ca kho (sī. pī.), aññataro kho (syā. kaṃ. ka.)] panāyasmā bhāradvājo arahataṃ ahosīti.

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そこで田を耕すバラモン・バーラドヴァージャは、師(ブッダ)のもとで出家(しゅっけ)し完全な戒律を受けた。それからまもなく、このバーラドヴァージャさんは独(ひと)りで他の人々から遠ざかり、怠(おこた)ることなく精励し専心していたが、まもなく無上の清らかな行いの究極(きゅうきょく)ー諸々の立派な人たち(善男子)はそれを得るために正しく家を出て家なき状態に赴(おもむ)いたのであるがーを現世においてみずからさとり、証し、具現(ぐげん)して、日を送った。「生まれることは尽(つ)きた。清らかな行いはすでに完成した。なすべきことをなしおえた。もはや再びこのような生存を受けることはない。」とさとった。そうしてバーラドヴァージャさんは聖者の一人となった。

ブッダのことば 中村元 訳  岩波文庫 第1 蛇の章 4、田を耕す、バーラドヴァージャ 散文8

テキストの漢字ルビはカッコ書きで表記した。

Kasibhāradvājasuttaṃ catutthaṃ niṭṭhitaṃ.

4、田を耕す、バーラドヴァージャ 終わり


散文7 第1 蛇の章 4、田を耕す、バーラドヴァージャ

7 1.Uragavaggo 4. Kasibhāradvājasuttaṃ

Atha kho kasibhāradvājo brāhmaṇo saṃviggo lomahaṭṭhajāto yena bhagavā tenupasaṅkami; upasaṅkamitvā bhagavato pādesu sirasā nipatitvā bhagavantaṃ etadavoca – ‘‘abhikkantaṃ, bho gotama, abhikkantaṃ , bho gotama! Seyyathāpi, bho gotama, nikkujjitaṃ vā ukkujjeyya, paṭicchannaṃ vā vivareyya, mūḷhassa vā maggaṃ ācikkheyya, andhakāre vā telapajjotaṃ dhāreyya, cakkhumanto rūpāni dakkhantīti [dakkhintīti (sī. syā. kaṃ. pī.)]; evamevaṃ bhotā gotamena anekapariyāyena dhammo pakāsito. Esāhaṃ bhavantaṃ gotamaṃ saraṇaṃ gacchāmi dhammañca bhikkhusaṅghañca, labheyyāhaṃ bhoto gotamassa santike pabbajjaṃ, labheyyaṃ upasampada’’nti.

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そのとき田を耕すバラモン・バーラドヴァージャは恐れおののいて、身の毛がよだち、師(ブッダ)のもとに近づいた。そうして師の両足に頭を伏せて、礼拝してから、師にいった。―「すばらしいことです。覆(おお)われたものを開くように、方向に迷った者に道を示すように、あるいは『眼ある人々は色やかたちを見るであろう』といって暗闇(くらやみ)の中で灯火をかかげるように、ゴータマさまは種々のしかたで真理を明らかにされました。故にわたくしはここにゴータマさまに帰依(きえ)します。また真理と修行者のつどいに帰依します。わたくしはゴータマさまのもとで出家し、完全な戒律(具足戒(ぐそくかい))を受けましょう。」

ブッダのことば 中村元 訳  岩波文庫 第1 蛇の章 4、田を耕す、バーラドヴァージャ 散文7

テキストの漢字ルビはカッコ書きで表記した。

散文6 第1 蛇の章 4、田を耕す、バーラドヴァージャ

6 1.Uragavaggo 4. Kasibhāradvājasuttaṃ

Atha kho kasibhāradvājo brāhmaṇo taṃ pāyasaṃ appāṇake udake opilāpesi. Atha kho so pāyaso udake pakkhitto cicciṭāyati ciṭiciṭāyati sandhūpāyati sampadhūpāyati [sandhūmāyati sampadhūmāyati (syā.)]. Seyyathāpi nāma phālo divasaṃ santatto [divasasantatto (sī. syā. kaṃ. pī.)] udake pakkhitto cicciṭāyati ciṭiciṭāyati sandhūpāyati sampadhūpāyati; evameva so pāyaso udake pakkhitto cicciṭāyati ciṭiciṭāyati sandhūpāyati sampadhūpāyati.

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そこで田を耕すバラモン・バーラドヴァージャはその乳粥を生物のいない水の中に沈めた。さてその乳粥は、水の中に投げ棄てられると、チッチタ、チッチタと音を立てて、大いに湯煙りを立てた。譬えば終日日(ひ)に曝(さら)されて熟せられた鋤先(すきさき)を水の中に入れると、チッチタ、チッチタと音を立て、大いに湯煙りを出すように、その乳粥は、水の中に投げ棄てられると、チッチタ、チッチタと音を立てて、大いに湯煙りを出した。

ブッダのことば 中村元 訳  岩波文庫 第1 蛇の章 4、田を耕す、バーラドヴァージャ 散文6

テキストの漢字ルビはカッコ書きで表記した。

散文5 第1 蛇の章 4、田を耕す、バーラドヴァージャ

5 1.Uragavaggo 4. Kasibhāradvājasuttaṃ

‘‘Atha kassa cāhaṃ, bho gotama, imaṃ pāyasaṃ dammī’’ti? ‘‘Na khvāhaṃ taṃ, brāhmaṇa, passāmi sadevake loke samārake sabrahmake sassamaṇabrāhmaṇiyā pajāya sadevamanussāya, yassa so pāyaso bhutto sammā pariṇāmaṃ gaccheyya, aññatra tathāgatassa vā tathāgatasāvakassa vā. Tena hi tvaṃ, brāhmaṇa, taṃ pāyasaṃ appaharite vā chaḍḍehi appāṇake vā udake opilāpehī’’ti.

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「では、ゴータマ(ブッダ)さま、この乳粥をわたしは誰にあげましょうか?」「バラモンよ。実に神々・悪魔・梵天(ぼんてん)とともなる世界において、神々・人間・道の人・バラモンを含む生きものの中で、全き人(如来(にょらい))とかれの弟子とを除いては、この乳粥を食べてすっかり消化し得る人を見ない。だから、バラモンよ、その乳粥を青草の少ないところに棄てよ。或いは生物(いきもの)のいない水の中に沈(しず)めよ。」

ブッダのことば 中村元 訳  岩波文庫 第1 蛇の章 4、田を耕す、バーラドヴァージャ 散文5

テキストの漢字ルビはカッコ書きで表記した。

82  第1 蛇の章 4、田を耕す、バーラドヴァージャ

82 1.Uragavaggo 4. Kasibhāradvājasuttaṃ

‘‘Aññena ca kevalinaṃ mahesiṃ, khīṇāsavaṃ kukkuccavūpasantaṃ;

Annena pānena upaṭṭhahassu, khettaṃ hi taṃ puññapekkhassa hotī’’ti.

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全き人である大仙人(だいせんにん)、煩悩(ぼんのう)の汚(けが)れをほろぼし尽くし悪い行いを消滅した人に対しては、他の飲食をささげよ。けだしそれは功徳(くどく)を積もうと望む者のための(福(ふく))田(でん)であるからである。

ブッダのことば 中村元 訳  岩波文庫 第1 蛇の章 4、田を耕す、バーラドヴァージャ 82

テキストの漢字ルビはカッコ書きで表記した。中村先生の訳注によると、全き人ー原語はkevalinであるが、註にしたがって解した(sabbaguṇaparipuṇṇaṃ sabbayogavisaṃ vā ti .Pj)。大仙人ーmahesi(=Skrt.maharṣi)、煩悩の汚れーāsava.仏典では、欲の汚れ、生存の汚れ、無明の汚れ、の三種を説く(Niv.56,p.49)とされる。

81  第1 蛇の章 4、田を耕す、バーラドヴァージャ

81 1.Uragavaggo 4. Kasibhāradvājasuttaṃ

‘‘Gāthābhigītaṃ me abhojaneyyaṃ, sampassataṃ brāhmaṇa nesa dhammo;

Gāthābhigītaṃ panudanti buddhā, dhamme satī brāhmaṇa vuttiresā.

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詩を唱(とな)えて〔報酬として〕得たものを、わたくしは食うてはならない。バラモンよ、このことは正しく見る人々(目ざめた人々)のならわしではない。詩を唱えて得たものを、目ざめた人々(諸々のブッダ)は斥(しりぞ)ける。バラモンよ、定めが存するのであるから、これが(目ざめた人々の)生活法なのである。

ブッダのことば 中村元 訳  岩波文庫 第1 蛇の章 4、田を耕す、バーラドヴァージャ 81

テキストの漢字ルビはカッコ書きで表記した。

散文4 第1 蛇の章 4、田を耕す、バーラドヴァージャ

4 1.Uragavaggo 4. Kasibhāradvājasuttaṃ

Atha kho kasibhāradvājo brāhmaṇo mahatiyā kaṃsapātiyā pāyasaṃ [pāyāsaṃ (sabbattha)] vaḍḍhetvā bhagavato upanāmesi – ‘‘bhuñjatu bhavaṃ gotamo pāyasaṃ. Kassako bhavaṃ; yaṃ hi bhavaṃ gotamo amatapphalaṃ [amatapphalampi (saṃ. ni. 1.197)] kasiṃ kasatī’’ti.

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そのとき田を耕すバラモン・バーラドヴァージャは、大きな青銅の鉢に乳粥(ちちがゆ)を盛って、師(ブッダ)にささげた。―「ゴータマさまは乳粥をめしあがれ。あなたは耕作者です。コータマさまは甘露の果実(みのり)をもたらす耕作をなさるのですから。」

ブッダのことば 中村元 訳  岩波文庫 第1 蛇の章 4、田を耕す、バーラドヴァージャ 散文4

テキストの漢字ルビはカッコ書きで表記した。

80  第1 蛇の章 4、田を耕す、バーラドヴァージャ

80 1.Uragavaggo 4. Kasibhāradvājasuttaṃ

‘‘Evamesā kasī kaṭṭhā, sā hoti amatapphalā;

Etaṃ kasiṃ kasitvāna, sabbadukkhā pamuccatī’’ti.

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この耕作はこのようになされ、甘露(かんろ)の果実(みのり)をもたらす。この耕作を行なったならば、あらゆる苦悩から解(と)き放たれる。」

ブッダのことば 中村元 訳  岩波文庫 第1 蛇の章 4、田を耕す、バーラドヴァージャ 80

テキストの漢字ルビはカッコ書きで表記した。中村先生の訳注によると、甘露ー甘露の原語amataは「不死」という意味もある。だからここの文句は「不死の果報をもたらす」と訳すこともできるとされる。

不死という言葉を物理的な意味、宗教教学的な意味、心霊的な意味で解釈する立場もあるかと思うが、証明できないものは無記である。釈迦牟尼は証明できることだけで涅槃を説かれたとする。

79  第1 蛇の章 4、田を耕す、バーラドヴァージャ

79 1.Uragavaggo 4. Kasibhāradvājasuttaṃ

‘‘Vīriyaṃ me dhuradhorayhaṃ, yogakkhemādhivāhanaṃ;

Gacchati anivattantaṃ, yattha gantvā na socati.

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努力がわが〈軛をかけた牛〉であり、安穏(あんのん)の境地に運んでくれる。退(しりぞ)くことなく進み、そこに至ったならば、憂(うれ)えることがない。

ブッダのことば 中村元 訳  岩波文庫 第1 蛇の章 4、田を耕す、バーラドヴァージャ 79

テキストの漢字ルビはカッコ書きで表記した。中村先生の訳注によると、安穏ーその原語yogokkhemaは、通常ニルヴァーナの同義語と解せられる。

78  第1 蛇の章 4、田を耕す、バーラドヴァージャ

78 1.Uragavaggo 4. Kasibhāradvājasuttaṃ

‘‘Kāyagutto vacīgutto, āhāre udare yato;

Saccaṃ karomi niddānaṃ, soraccaṃ me pamocanaṃ.

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身をつつしみ、ことばをつつしみ、食物を節して過食しない。わたくしは真実をまもることを草刈(くさか)りとしている。柔和(にゅうわ)がわたくしにとって〔牛の〕軛を離すことである。

ブッダのことば 中村元 訳  岩波文庫 第1 蛇の章 4、田を耕す、バーラドヴァージャ 78

テキストの漢字ルビはカッコ書きで表記した。このようにすることは容易ではないが、教えを聞きこころにこれらの言葉をすこしずつ浸透させることは出来ると信じる。凡夫にとって、禅や瞑想なども一時的にとどまれるに過ぎないが、繰り返せばこころはその状態を覚えている。